昨日はGS仲間でもある先輩の革選びに同行し浅草橋~墨田方面へ出張してきました。
向かう先は、私がお取り引きしている革屋さんの中でも、いつも細かなオーダーにお応えしてくださる皮革専門店さん。
その先輩、長く広告業界などで御活躍しながら、大学でもグラフィックを教えている先生です。
昔は当たり前に手作業ですべて行っていたデザインのお仕事も、現在ではコンピュータを使っての作業が殆どになったとお聞きしました。
そこで失れつつある手作業の大切さを伝えるべく、実際に手を動かし作ることを実践された授業を行ってらっしゃいます。
物の質感を目と触感で捉えられるように、様々な素材(とくに天然の材料)が必要とのこと。
そこで今回はリアルレザーを調達したいとの御相談を頂きました。
そのなかでの御要望は大きく三点。
・牛のカタチと大きさがわかること
・革本来の荒々しさ(シボやシワ等)残る表面
・ブラックレザー
この三点から私が推測したのは、本革の質感や生命の痕跡を感じられることがポイントとでも言いましょうか。
やはり大きさと形から受ける印象は、元々生きていた牛の迫力と凄みが感じられるでしょうし、部位ごとに異なる風合い・繊維の流れ・緻密さ粗さを比較し感じられると思います。
通常多くのレザーでは、表面が平らになるように丸みのある皮を伸ばして圧をかけるなどして平滑に仕上げるんですが、今回の革はその工程を最小限にしてシワやシボ(表面の凹凸)を残した革です。
教材サンプルとしての色ならば、生成りのナチュラルカラーが相応しいとお思いの方もいらっしゃると思います。最初は私もそう思いました。でも、よく考えてみると本当のリアルって其のままということとは違うとおもうのです。たとえるならば、昔の写真や映画は白黒やセピアがかったモノトーン画像のほうが、時代性や空気感までより鋭敏に感じられることがあると思います。それは素材にも言えることなのだと。
実際、シボや深いシワがあるこの革ならではの雰囲気は黒色だからこそ感じられる陰影や空気がありました。
今回の革、良い革だと思います。
こちらのざっくりとしたリクエストにお応えくださった革屋さんには感謝でございます。いつもストーヴルの我侭なリクエストにお応え下さり良くして頂いております。
この革に触れることで、多くのクリエーター志望のみなさんに何かを感じて頂けたら嬉しいですねぇ。
Λ.製品を拵える前提ではない革選びってなかなか無いことなので、とっても新鮮でした。自分も勉強になりました。
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